熊本・福岡の遠征旅行の間に無理言って福岡市貝塚公園に展示してあるDe Havilland DH-114 Heron に会いに行きました。
ボーイングやロッキードのスマートなデザインと違って、クセのある独特なデザインが魅力です。
そして、日本ではただ1機現存する貴重な機体でもあります。


《JA6159 De Havilland DH-114 Heron 1型の略歴》
1953/10/09 ロールアウト ガルーダインドネシア航空が購入 PK-GHK
1961/03/09 伊藤忠が当機を含む12機を購入 当機は富士航空が購入
1964/?/? JDA日本国内航空が購入
1967/08/26 抹消登録 廃棄機体をTWA東亜航空が購入 日本航空学園が東亜航空本社で再組立と塗装の実習を行う
1968/?/? 東亜航空から福岡市へ寄贈 貝塚公園に福岡市備品として展示
ガルーダインドネシア航空機として約8年間使用され、日本の空を飛んで約6年。
合わせて14年間の短い現役生活ですが何故短かったのか。資料を眺めてみると次の要因が浮かんでくるようです。
・プロペラのベアリングの品質に問題があり、4発のプロペラの回転数を同調させることが困難で、後に部品を国産化して対応していた。
・搭載されていたジプシークイン30エンジンのシリンダー・ピストン類の不具合や、クランクケースの亀裂が報告され、耐久性が低い割 りに高額なパーツと調達までの日数に悩まされ続けてきた。
その後エンジンが製造中止となり、交換部品の調達に支障をきたすこと・・・
諸々の条件が重なって用途廃止が早まったと推察されます。


象の鼻のような前輪と250馬力のジプシークイン30型エンジン
1968年から以来約42年、公園で子供達にタイヤをくるくる回されながら親しまれ愛されてきました。
福岡市公園課の方々の努力と人々の愛情に支えられて今も往時を偲ぶ姿を留めていることは、用途廃止の途端スクラップか朽ち果てていく姿を晒すしかない日本の産業遺産に対する考え方からすると奇跡と言ってもいいのではないでしょうか。
とはいえ、経済に明るい兆しが見えない状況で、真っ先に仕分けの対象に成りはしないか、雨ざらしの現状でいつまで耐えられるのか、愛情と理解だけではどうにもならない状況が迫ってきていることも明らかです。

博物館に…、せめて屋根だけでも早急に…